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保育士不足深刻、都市部と争奪も 賃金低く園児低年齢化で負担は増 - 福井新聞

 福井県内の保育士不足が深刻化している。多くの保育園がハローワークで求人を募集している一方、県外の人材派遣会社が各園に求職者リストを送るなど、人材不足の解消に向けた動きが激しくなっている。女性の社会進出や核家族化に伴って園児の低年齢化が進み、職員の負担が増加しているにもかかわらず賃金は低いため、離職が加速しているとみられる。

  ■ファクス続々■

 「まずはお会いいただき、ご相談ください‼」。福井市内のある園には、県外の複数の人材派遣会社から求職者リストのファクスが送られてくる。その中の一枚には、28人分の匿名の県内求職者が記載されており住所、年齢、希望する勤務形態などが書かれている。園は雇いたい求職者にチェックを入れ、送り返すシステムだ。

 面接などを経て実際に採用が決まると、園は業者に対し数十万円を納める。同園の園長は「2~3年前から、年度末近くになると、1週間に何枚もファクスが送られてくるようになった」と話す。

 背景には、全国的な保育士不足がある。県内保育士の今年3月の有効求人倍率は2・63倍で、全体の1・77倍を大きく上回る。ある園長は「県内の複数のハローワークに求人を出しているが反応はない」。別の園長は「大都市圏では給料が高い上、住居まで提供しているケースがある。Uターンをしなくなっている」。都市部との争奪戦もまた、激しさを増している。

  ■子が減っても■

 県内の0~9歳の人口は2005年は7万9455人だったが、15年は6万7939人で14・5%減った。ただ、福井市内の認定こども園長で、県社協保育部会の澤田夏彦会長(59)は「0~2歳児の入園が増えているのが、保育士不足の一因」と指摘する。

 職員配置の国の基準は4、5歳児は30人に1人だが、1、2歳児は6人に1人、0歳児になると3人に1人となる。澤田会長は「昔は家族や地域が子育てを支えてきた。今は核家族化で、生後すぐに保育園に預ける傾向にある」と説明する。

  ■呼吸チェック■

 「蛇口をひねってお湯を出しても、バスタブの栓が抜けている」。保育士不足をこう表現するのは、仁愛大人間生活学部長の石川昭義教授(56)。大学側が人材を供給しても、離職者がその数を上回るというわけだ。

 全国の保育士の平均月給は約22万円で、全職種平均より約11万円安い。本県は全国平均をさらに2万5千円も下回っている。県民間保育園連盟の竹内文憲前会長(72)は「保育士不足の解消には処遇改善が不可欠」と訴える。

 一方、園児の低年齢化などで、保育士の負担は増えている。ある40代の保育士は「0歳児の場合、ミルクをあげたり、呼吸をチェックしたりと気を張る」。しかも、臨時職員の比率が高い保育園の場合は「正職員の仕事量が多くなりがち」と話す。また、晩婚化で園児の親の年齢が高くなり、若い保育士に厳しくあたるケースも目立ち、ある関係者は「精神的にまいってしまう保育士もいる」と打ち明ける。

 人口減対策の一環として、政府は「1億総活躍プラン」の中で、保育士の処遇改善を盛り込んだ。ただ、財源確保の道筋は不透明だ。石川教授は「保育士が1~2年で辞めていくと、子育ての理念を含め保育の文化を継承できなくなり、各園が築き上げてきた保育の信頼性が揺らいでしまう」と警鐘を鳴らす。