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<待機児童>「3歳児難民」増加懸念 - 河北新報

小規模保育施設で過ごす子どもたち。卒園後も安心して通える場所の確保が急務だ=仙台市青葉区

 東日本大震災後の人口流入などに伴う待機児童の増加対策として、仙台市が3歳未満児を預かる小規模保育施設を増設する中、卒園後の受け皿不足への懸念が保護者に広がっている。市は幼稚園などと連携し3歳以降の通園先確保を支援するが、預かり時間が短いなど条件が合わず、入園に二の足を踏む保護者が少なくない。場当たり的な市の対策に施設側も不満を募らせる。「3歳児難民」の発生が心配されている。(報道部・菊池春子)

<仕事との両立不安>
 「3歳からどうしよう。正直、頭がいっぱい」。仙台市青葉区の小規模保育施設に2歳の長女を預ける女性会社員は不安を抱える。小学校入学前まで通える認可保育所を希望したが、競争率が高く、入園できたのは第3希望の小規模施設だった。
 卒園は来年3月に迫る。認可保育所は年齢別の定員があり、3歳児枠は限られる。入れる保証はない。自宅近くの幼稚園も選択肢だが、「保育所と異なり預かり時間が短く、弁当を持参しなければならない場合もある。フルタイムの仕事と両立できるのか」と悩む。
 仙台市は2014~16年度、待機人数の多い0~2歳児のみを預かる小規模保育施設を58園開設。民間の事業者を認可し運営費を補助する形で、一気に972人分の受け皿をつくった。待機児童(4月1日現在)は前年のほぼ半数の213人まで減った。

<今春も特例が2人>
 一方、卒園後の通園先を確保できない状況が出始めている。今春の小規模施設などの卒園児275人のうち、行き先が決まらず特例として一時的に元の園に継続して通う3歳児が、昨春の4人に続き2人出た。
 仙台市は来年度までに、さらに7カ所の小規模施設を整備し、130人以上を受け入れる方針だが、懸念は施設側にもある。
 全国小規模保育協議会仙台支部の平間恵子支部長は「根本的な問題を解決しないまま小規模施設を増やしていいのか」と指摘。「少人数ならではのきめ細かな保育を進めてきたのに、卒園後の不安から保護者が小規模を選ばなくなれば、将来的に施設自体が淘汰(とうた)されかねない」と危惧する。

<幼稚園も対応苦慮>
 働く親に合わせた長時間の預かり態勢を求められる幼稚園も、対応に苦慮する。仙台市私立幼稚園連合会の鎌田文恵会長は「預かり保育の拡充には教諭の確保が必要。人件費への十分な支援がないと、やっていけない」と訴える。
 市は「今後、幼稚園への支援策も検討し、就学前まで通えるよう認可保育所も増設する」と説明する。
 保育に詳しい東京都市大の猪熊弘子客員准教授(保育政策)は「場当たり的な施策のつけが現場に及んでいる。3歳以降も安心して通える場を、行政が責任を持って保証すべきだ」と指摘している。

[小規模保育施設]0~2歳が対象で、定員は19人以下。待機児童の解消などを目指す国の「子ども・子育て支援制度」開始に伴い、2015年度に本格導入された。主に都市部の自治体で整備が進み、施設数は15年4月現在、全国で1655カ所。