保育士求人・転職情報も満載!保育業界について考えるブログ

保育士、保育園、保育業界に関する様々な情報をまとめています。待機児童問題や転職が多いとされる保育士の待遇問題など保育業界を取り巻く問題に鋭いメスを入れ、社会全体で解決していくキッカケ作りをしていきます。

子育て支援、保育環境における地域格差と出生率

保育所に子どもを預けたいと思っても、空きがないために預けることができない「保育所待 機児童」は、厚生労働省の直近の調査1 によれば、2015 年 4 月には 23,167 人、10 月時点で 45,315 人となっている。ただし、これはあくまでも自治体を通して認可保育施設に入所を申請した人 数を元に把握された数字であり、入所を諦めて申請していない人は含まれていない。また、発 表された数字からは、希望した認可保育施設には入所できていないが自治体が助成している認 可外保育施設などに入所できている人は除外されている。そこで、実際にはこの数字の数倍〜 10 数倍の子どもが、本当は保育所に入所したいにも関わらず把握されていない「影の待機児童」 として存在していると考えられている。2016 年 2 月、「保育園落ちた、日本死ね!!!」2 とい う過激なタイトルの匿名のブログがインターネット上に投稿され、同じように子どもを保育所 に預けたくても預けられない親たちに共感を持って拡散されて話題となった。政府が華々しく 掲げる一億総活躍プランの影で、子どもの預け先がないために「活躍」したくてもできない母 親たちの声は、もはや悲鳴に近いものとなっている。 この保育所待機児童の問題は 1947 年に児童福祉法が制定されて保育所制度がスタートして 以来ずっと続いているものである。近年では特に 2008 年のリーマンショックを機に大きくなっ てきており、社会問題化している。核家族化など家族形態の問題と同時に、不景気、親世代の 非正規化、長時間労働などから保育が必要な子どもたちが増えている。 しかし、待機児童が問題となっているのは、主に東京を中心とする人口密集地の首都圏や、 児童福祉法が制定された後も長く米国統治下にあって保育政策が行き届かなかった沖縄であり、 地方では待機児童よりも急速に進む少子化の方が問題になっている地域の方が多い。過疎や出 生率の低下により急激に子どもの数が減って、乳幼児時期の子ども同士の関わり合いを育てる ための集団保育をすることができなくなり、中には閉園したり合併したりする幼稚園・保育園 も少なくない。待機児童問題は一方では東京一極集中の人口問題であるともいえる。もともと 女性の就業率が高く、就学前人口に対する保育所定員の割合を示す保育所普及率(設置率)が 50%を超えている日本海側などの地域では、待機児童の問題はほとんどない。待機児童が多い のは保育所普及率が 30%以下の地域だが、これらの数字を元に待機児童の解消をはかるような 対策は行われていない。 また、保育所以外の「子育て支援」の取り組みも、地域によって格差が大きい。保育や子育 て支援策に関する現状を示した上で、日本に必要な今後の保育や子育て支援策のあり方につい て考えていきたい。