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<親子に時間を>育児と政治(2)「女は家庭」法律通じず  - アットエス

少子高齢化に対し、政府は女性が育児期に離職する、いわゆるM字カーブを緩和しようと、保育の受け皿整備と育児休業(育休)を進めた。2006年から約1年間、本県選出で厚生労働相を務めた元衆院議員柳沢伯夫さん(現・城西国際大学長)は「経済成長には労働力人口が必要。だから女性の仕事と育児の両立を支援した。保育は税金を充てるしかなく、財源獲得競争になった。育休には雇用保険という財源があった」と明かす。
 しかし、育休を希望しながら取得できず、両立がかなわない女性たちがいる。
 「私も活躍したいのに、どこで活躍すればいいの」。0歳児を育てている県中部の専業主婦(28)は「1億総活躍社会」という言葉を聞くたびに心がざわつく。正社員として勤めていた会社で、育休はおろか、産前産後休業も取得できず、やむなく退職したからだ。

立ちはだかったのは「母親は子どものそばに」という老年経営者の方針。学生時代、産休と育休は法律で決められているのだから取得できて当たり前と思っていた。「でも、法律はいとも簡単に無視されることを知った」
 今は育児が楽しく、子どもはあと2人欲しい。育休を取得できていれば、月給が手取り23万円の夫とともに共働きで教育費を稼ぐことができたが、今のところ再就職を含めた見通しはあいまいだ。「正規、非正規を問わず、働く全ての希望者が産休、育休を取得できるように政治は経営者に目を光らせてほしい」
 育休を取得できても、受難が待ち受ける場合もある。4歳と0歳の子どもを育てる県中部の専業主婦(41)も「女は家庭」の経営者の下、職場で居場所を失った。妊娠・出産・育休などを機に職場で不利な扱いを受けるマタニティーハラスメント(マタハラ)に遭ったのだ。

上の子を出産した時、社内で初めて育休を取得し、復帰後は短時間勤務の第1号になった。月給は1日6時間勤務で手取り17万円。しかし、しばらくして突如10万円弱に引き下げられた。時給に換算して850円。社内で別の女性が育休を申請し、「代替要員を雇う必要が生じた」として育休復帰後の待遇を見直すことになったと聞かされた。
 その後、再び妊娠し、自ら退職を選んだ。現在は再就職を目指し、求職中。「育休中は『戻れる場所がある』という安心感があったが、今はない」
 居城舜子元常葉学園大教授=労働経済学(女性労働)=は「育休は少子化対策として必要だが、十分ではない。取得後に離職する女性がいる。非正規雇用の女性や、男性はほとんど取得できない」と指摘。背景にあるのが「男は仕事、女は家庭」を前提とした日本型雇用慣行だとして、「政府は両立支援と言いながら、日本型雇用慣行にメスを入れるという本気度が足りない。掛け声だけと言わざるを得ない」と話す。