保育士求人・転職情報も満載!保育業界について考えるブログ

保育士、保育園、保育業界に関する様々な情報をまとめています。待機児童問題や転職が多いとされる保育士の待遇問題など保育業界を取り巻く問題に鋭いメスを入れ、社会全体で解決していくキッカケ作りをしていきます。

(豊かさとは 2016参院選:2)子育て 復職したい、声あげた - 朝日新聞

5月末、東京都江東区役所。保育関係の職員を前に、1歳7カ月の長女をおぶった渡辺麻里絵さん(30)は訴えた。「私たちの声を吸収して下さい」

 4月に認可保育所に入れなかった母親たちと、区役所との「面談」だった。子どもをあやしながら1時間余り。「区の施設を転用できないか」「ニーズ調査してほしい」。自分ログイン前の続きたちで調べた資料を手に提案した。

 きっかけは、渡辺さんのネット掲示板への書き込み。「一緒に声をあげてみませんか」。4月、初対面の母親たちが集まった。

 以前は「日本は問題もなく良い国」と思っていた。2014年10月、長女が生まれ、変わった。

 長女が1歳になり、職場復帰しようと保育園に申し込んだが、認可保育所も、都が独自の基準で認める認証保育所も全滅。育休を3年取れる「3年間抱っこし放題」どころか、多くの親が保育所に入れるために育休を早めに切り上げ、0歳で入園させていた。1歳児の枠は狭く、0歳の方が入りやすいからだ。「努力で解決できない社会問題が身近にあった」

 女性の労働力を活用すると言いながら、大前提の保育所整備が進まない。「声をあげないと、変わらない」。議員会館で開かれた集会にも足を運んだ。

 来年4月に向け、認可外保育所の入園金12万円を払った。状況は何一つ改善していない。「でも、こんな経験ができてよかった。子育てを機に社会に引きずり出された感じ」

 ■家事代行「時間買う選択も」

 東京都渋谷区の城後(じょうご)幸代さん(34)は第2子の妊娠がわかった時、「手術を早めてほしい」と医師に頼んだ。予定日は15年2月中旬。予定通りだと、4月の時点で入園できる生後2カ月に達しない。医師の反対を押し切って1月末に出産した。

 山口県の大学を卒業後、上京。「働くのが好き。でも、子どもとの時間も大切にしたい」。実現できる場を求め、何度も転職した。

 第2子誕生後、家事代行サービス会社の広報として働き始めた。「女性の社会進出が進んでも、家事の大半は女性が無償で担う。負担を減らすにはどうしたら」。自身も育児と仕事に追われパンク寸前だった。

 近年、家事代行市場は急成長している。城後さんの会社では、月1回2時間の利用で5千円余り。共働きのサラリーマン家庭、シングルマザー、独身者と、利用者は幅広い。

 「家族の時間が増えた」「第2子を産む気持ちになれた」。顧客から声が届く。「全てに全速力だと息切れしてしまう。時間をお金で買う選択肢もあっていい」(仲村和代)

 ■待機児童、5年ぶり増

 厚生労働省によると、昨年4月時点の「待機児童」は2万3167人。前年より1796人多く、5年ぶりに増えた。育休延長などで除外された「隠れ待機児童」も約6万人いる。

 安倍政権は、仕事と子育てを両立しやすい環境作りを成長戦略に位置づけた。13年4月、5年後に「待機児童ゼロ」を目指す保育の受け皿作りや、「3年間抱っこし放題」を打ち出した。

 15年4月に始まった子ども・子育て支援新制度は、年約1兆円が必要とされるが、すべての財源確保の見通しは立たなかった。16年2月、「保育園落ちた日本死ね!!!」と題したブログをきっかけに対策を求める声が高まった。保育士の待遇改善など緊急対策を掲げたが、社会保障の財源とされた消費増税は先送りされた。

 内閣府の子ども・子育て会議の委員を務める秋田喜代美・東大大学院教授は「安倍政権の子育て施策は、親の就労支援をして経済成長に役立てる観点から考えられている。保育の質を高め、将来を担う子どもを豊かに育てるという長期的視点が必要」と指摘する。