北欧発祥の野外保育「森のようちえん」に取り組む和歌山県紀の川市地域活性化支援団体「いなか伝承社」(田中寛人代表)は18、19日の1泊2日、白浜町とすさみ町で「森のおさんぽ会」を開く。紀南地方を中心に活動する母親たちのグループ「ママパワー全開プロジェクト」や地元住民らが協力し、2009年に廃校となったすさみ町の旧佐本小学校で宿泊したり、磯遊びや山間部での自然の遊びを満喫したりする。田中代表は「紀北と紀南の親子の交流の場にもしたい」と話している。

 「森のようちえん」は、自然の中で、できるだけ大人が干渉せずに子どもたちの自主性に委ねて見守る野外保育。北欧で始まった取り組みで、全国に広がっている。

 「いなか伝承社」はその一環として未就学児と親を対象に、毎回違った場所に行き、自然の中で遊ぶ「森のおさんぽ会」を月1回開催。かつらぎ町天野地区では月に3、4回、子どもの自主性を重んじ、四季折々の自然の変化を感じたり、参加者同士が交流を深めたりできるよう「天野の森のようちえん」をしている。

 「森のおさんぽ会」は昨年5月から続けており、今回で15回目。紀南地方を会場にすることや、宿泊を伴う活動は初めてという。

 18日は白浜町日置の志原海岸で磯遊びをし「リヴァージュ・スパひきがわ」で入浴した後、旧佐本小学校に移動。地元産の米を羽釜で炊いたり、地元産の食材でバーベキューをしたりした後、寝袋を使って教室で泊まる。翌19日は同町佐本深谷、桜井明さん(67)の敷地やその周辺で、山から水を引いた小さな池や農薬を使わずに栽培している畑などで遊ぶ。

 ママパワー全開プロジェクト副代表の中村千佳子さん(37)=すさみ町周参見=は、6歳と3歳の息子2人と参加する。「お母さん一人で、きょうだいを連れて出掛けるのはなかなか大変。自然の中で子どもたちを伸び伸びと楽しませられる良い機会だと思う」、桜井さんは「親子で自然の楽しさ、素晴らしさを感じてもらいたい。子どもたちは楽しいと思ったことが記憶に残る。将来、再訪してもらえれば、地域の活性化にもなる」と話している。