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認可外保育施設 保護者間に負担格差 割高な保育料 自治体独自施設は補助あり - 毎日新聞

保育所に子どもを入れることができなかった親たちが頼るのが、認可外保育施設だ。認可外は東京都の認証保育所のような自治体独自の保育施設と、それ以外の一般的な施設の二つに分けられる。認可外は認可に比べて保育料が割高なことが多いが、東京都区部と政令市でみると、独自施設を持つ自治体のほとんどは保育料に補助している一方、それ以外の認可外施設の保育料補助を実施している自治体は2割に満たない。認可外でもどの施設に入れるかで、保護者間に負担格差が生じている。【堀井恵里子】

 雑居ビルの一部を使った台東区内の認可外保育施設。2月から長男(1歳)を預ける同区内の女性(38)は出産を機に退職したが、新たにパートで勤め始め、週4回、1日10時間預けている。4月から認可施設への入所を希望していたが落選。6月開所の小規模保育所にも入れなかった。

 認可保育所の保育料は所得に応じて設定され、台東区では月2万~4万円の人が多いという。一方、区内の認証保育所の保育料は月6万円前後。区は認可保育所に入れた場合と認証保育所利用との差額を、最大2万円まで補助している。

 この女性が支払う保育料は週4日でも月7万円。臨時に日曜日に預ければ1日で1万円もかかるが、認証ではないため、補助は出ない。スタッフの入れ替わりが少なく、部屋も広く子どもを安心して預けられるが、保育料を払うと、手取りで月約15万円の給料は半分しか残らない。負担は軽くないが、自宅に近く、すぐに入所できる施設はほかには見つからなかった。

 認可保育所に入れるのは早くても来年4月になりそうだ。「保育料が月3万円違えば大きい。ママ友の間でも格差が生じる」とため息を漏らした。

「一定水準で運営」条件

 台東区に限らず、独自施設以外の認可外の保育料を補助している自治体は少ない。独自施設より、定員や保育士の基準が緩やかなことなどが理由だ。

 公費で支援する以上、一定の水準を満たす施設でなければならない。補助している自治体も、適切な運営がされていることを担保するため「東京都の指導監督基準を満たす」などの条件を付けているところがほとんどだ。

 世田谷区は3歳児以下について、認証以外の施設でも認証と同じ5000~2万円の補助を決めた。これは待機児童が多いことを受けた緊急対策との位置付けで、4年間に限定した。同区は「整備の進み具合をみて、延長するかどうか検討する」としている。

 広島県も認可外保育施設の利用料のうち月4万5000円を上限に、認可保育所を利用した場合との差額を助成しているが、やはり待機児童対策の一環。単年度事業として始めたが、待機児童解消の見通しが立っていないため今年度も継続した。

東京23区や政令市、認可との差額考慮

 一方で、自治体独自施設の保育料は補助がほぼセットになっている。首都圏では、東京23区のほか、さいたま、千葉、横浜、川崎、相模原の全市で整っている。

 個別にみると、千代田区は、認可保育所より認証の保育料が安くなるようにしており、区では「認可保育所を希望しても入れない人が多く、保育料も高ければ認可外も利用しづらくなるだろう」と説明。認可にはない入園料の支払いも考慮して決めた。

 港区も認可保育所との差額をほぼ全額補助し、兄姉が認可や認証保育所などに入っていれば2人目以降は認可と同じく認証も無料としている。仙台市は所得に応じて保育料を減額しており、3歳未満児の約7割の保護者が、認可より保育料が安いという。

 江戸川区は子どもの貧困対策の一環として位置づけ、対象を低所得世帯に限り、月1万5000~2万5000円を補助する。

保育料軽減、国も支援 認可移行前提で補助上乗せ

 厚生労働省は待機児童解消に向けた3月の緊急対策で、自治体独自の保育施設が認可施設への移行計画を作成した場合、保育料が月5000円程度安くなるよう、運営費補助を上乗せすることを打ち出した。運営費補助はこれまでもあるが、保育料軽減を直接の目的とするのは初めてだ。

 緊急対策は原則、(1)2015年4月1日の待機児童数が50人以上(2)15年度の受け皿拡大が150人分以上--の自治体を対象にしている。厚労省保育課によると独自施設数は全国で3000カ所を超える。半数程度の施設に上乗せ補助できる予算は確保しているという。また、これまで5年を期限としていた認可施設への移行期間も、各施設の実情に合わせて決められるように緩和した。

 ただ東京都の認証保育所の場合、仕事が終わる時間が遅い、通勤に便利な駅近くがいいなど「認可保育所だけでは応えきれない大都市のニーズに対応」するとの位置づけ。認可移行を前提とする国の保育料軽減策をどう活用できるか、東京都は「実施要項が出たら検討したい」としており、活用が進むかはまだ不透明だ。