被災高齢者が手作り紙芝居 園児に贈り15作目 - 河北新報
完成した15作目の出来栄えを確かめる佐々木さん
佐々木さんが、最新作「マッチうりの少女」の制作に取り掛かったのは4月上旬。市販の絵本を参考に画用紙24枚に鉛筆で下絵を描き、フェルトペンや色鉛筆で仕上げた。近所のホームセンターで買ったベニヤ板やアクリル板などで紙芝居の枠をこしらえ、約1カ月で完成させた。
紙芝居を贈り始めたのは2013年。震災の津波で被災し、市内の仮設住宅で1人暮らしをしていた。退屈紛れに描いた体操教室の先生の似顔絵が地域で評判になり、同じ仮設暮らしの住民ら約100人の顔を描くうちに画力が向上。同時進行で描いていた紙芝居を、被災した市東保育所に贈ることを思い付いた。
以来、1、2カ月に1回のペースで紙芝居を作り、市内の保育所や幼稚園に提供し続けた。活動開始から約1年後、市内の施設は残り七つだと知り、全ての施設に贈ろうと決めた。
佐々木さんは15年5月、市内の災害公営住宅に移り住んだが、制作意欲は衰えていない。自分の紙芝居を真剣な表情で見詰める子どもたちを見て、やめられなくなった。市内全施設への贈呈は1巡するが、2巡目の挑戦にも意欲を燃やす。
15作目は23日、岩沼こばと幼稚園に贈る。佐々木さんは「毎回、一人一人と握手し、みんなから『ありがとう』と言ってもらえる」と、子どもたちの笑顔を楽しみにしている。