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出生率上昇に気を緩めず少子化対策急げ  - 日本経済新聞

 明るいニュースではあるだろう。2015年に生まれた子どもの数は100万5656人となり、5年ぶりに増加した。1人の女性が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率も、1.46にまで上がった。1994年の1.5以来、21年ぶりの高水準だ。

 とはいえ、少子化に歯止めがかかったとはいえない。政府が掲げる「希望出生率1.8」との差もなお大きい。安心して子どもを産み育てられる社会へ、着実に対策を進めなければならない。

 冷静に数字をみてみると、楽観できないことは明らかだ。出生数は増加したとはいえ、過去最低だった14年より約2千人増えただけで、過去2番目に少ない。

 合計特殊出生率も手放しでは喜べない。前年より0.04上昇したが、長年の少子化により母親となる年代の女性の人口そのものが減っている。例えば15年は、94年に比べ2割近くも少ない。そのため出生率が少し上がっても、出生数はかつてほど多くはならない。

 第1子出生時の母親の平均年齢は30.7歳と、過去最高を記録した。晩婚化の傾向にも大きな変化はない。結婚、出産をするかしないか、するならいつか。これらはもちろん個人の選択だ。だが望んでもできなかったり、先延ばししたりしなければならない障壁があるなら、取り除く必要がある。

 大事なのは、若い世代の将来への不安を和らげることだ。政府が先週まとめた「ニッポン一億総活躍プラン」は、非正規で働く人たちの待遇改善を柱に据えた。安定した雇用と収入は、若い世代が結婚や出産の希望をかなえるのを後押しする。「同一労働同一賃金」の議論を進めるとともに、個人が自らの力を伸ばせるよう支援することが必要だ。

 男女ともに働きながら子育てができるよう環境を整えることも欠かせない。硬直的な長時間労働を見直すことや、保育サービスの拡充が柱になる。今は保育所の待機児童問題にばかり目が向きがちだが、小学校に入ってからの学童保育など、充実すべき点は多い。

 出生数と死亡数の差である自然増減数は15年に、マイナス約28万人と過去最大の減少幅となった。対策が遅れれば遅れるほど、少子化に歯止めをかけるのは難しくなる。子どもたちは未来の担い手だ。支援のために必要な財源をどう確保するか、議論を深めなければならない。