数年前までは普通の生活をしていたのに、気が付けば貧困と言われる状況になってしまった女性たち。今回は派遣社員・沢田志穂子さん（仮名・34歳）からお話を伺いました。彼女は保育系の短大をトップクラスの成績で卒業し、新卒で名門保育園に勤務。しかし、実は子供が嫌いなことがわかり、3年目にして退社。その後、実家がある埼玉県岩槻市で2年間、インフラ設備会社に事務職員として勤務。しかし、東京の華やかな生活が忘れられず、26歳で再度上京。シェアハウスに住みながら、派遣会社と“タク代飲み”を続けながら、なんとか生きているとか。
しかし、タク代女子（男性にタクシー代をたかる女子）が一般的に認知され、男性がお金を出し渋るように。それに伴い収入も激減。派遣社員として得ている15万円だけでは生活はギリギリで、今の所持金は2000円程度。貯金残高は953円だと言います。
「派遣社員って、搾取されてるわけでしょ。だからお金持っている人が、私たちにお金をくれるのは当たり前だと思う。それに私はかわいい。一緒に飲んでいれば、他の男性が振り返るレベルなのだから、そのくらいして当然だと思います」
とはいえ、彼女にお金をはらう男性は今やほとんどいなくなった。タク代飲みでLINE交換した男性にメッセージしても、既読スルー、またはブロックされることもあるといいます。
「また飲みたいです、とLINEしても、その大半の男性からスルーされるんですよね。自分から“LINE交換しましょうと言っておきながら、何なの？ と思います」
かわいい私が、LINEしてあげたのに、スルーするとは何事だ、という怒りをにじませる志穂子さん。そもそも保育士を志した動機とは？
「結婚相手として人気の職業だったからです。看護師、客室乗務員、保育士が男性から人気の職業だというアンケート調査結果を、高校時代に読み、消去法で選びました。看護師は合格試験までが大変そうだし、客室乗務員は採用までが難関。残る保育士なら私もできるかと思って。試験科目にはピアノがあって、私は子供時代にやっていなかったので、必死でレッスンしました。あんなに頑張ったのは、後にも先にもないですね」
保育士として勤務する3年の間に、行った合コンは200以上。
「病院系の保育園だったので、医師、医療系の職業、商社、公務員など手堅い人たちとよく合コンしていました。当時は私も若かったから、いろんな人から誘いがあり、ホントにモテたと思います。でも、結婚にはいたらなかった。同僚はそこで知り合った。年収3千万円の医師と交際し、そのまま結婚しました。私は、最初は“おお～かわいいね”と言われるんですが、その先が続かないんです。今まで10人以上交際しましたが、3か月以上続いたことはありません」
最近の恋愛について教えてください。
「先日、“この人いいな～”というベンチャー企業の役員と付き合っていたんですよ。でも、彼は既婚者だったんです。私に対しては完全に遊びだったんですよ。でも“結婚してる”って言わないのは卑怯ですよね。私が不倫になるじゃないですか。夜しか会ったことはないけれど、私は彼と結婚したいと思っていたのに、既婚者って私に対する裏切りだと思います」
なぜ、裏切りだと思うんですか？
「だって、34歳という私の年齢を伝えたんですよ。結婚しないとヤバいと思う年なのに、それを知っていて既婚者って、ホントにムカつきますよ」
彼と知り合ったきっかけを聞くと、バーでなんとなく知り会い、何となく恋愛関係になったと言います。それにつけても、なぜ、彼が既婚者だとわかったんですか？
「いつもはつけていないのに、あるときに指輪を付けていたから。結婚してるの？ って聞いたら“うん”と言われて。奥さんはどんな人って聞いたら答えてくれませんでした。きっとブスだと思うんですよね。でも不倫はすごくイヤなので、それを知ってから交際するのはやめました」
それにつけても、お金がホントになくなったらどうするんですか？
「いつもなんとかなっちゃうんですよね。親が貸してくれたり、お兄ちゃんがお金を振り込んでくれたりして、何とかしのいでいますが、今回はどうかな。給料日まで15日もあるのに所持金2000円ですからね。小銭が引き出せるATMまで遠いけど、ホントにお金がなくなったらチャリで行こうかな」
志穂子さんはお金がなくても、悲壮感がありません。どうしてそんなに楽天的でいられるのでしょうか。親の援助意外に何かあるはずと思い、何度も聞いたところ、一時的に恋愛関係になることで、お小遣いをくれる男性がいるとか。
「と言ってもバイシュンとかじゃないですよ。LINEして、ご飯食べて、夜まで一緒にいて、1万円とか2万円とかくれる人がいます。困ればそういう人に連絡すればいいんです」
お話を伺ったときの、志穂子さんのファッションは、黄色のビジュー付きカーディガンに、ベージュのワンピース。よく目を凝らしてみれば、ワンピースにはシミがたくさんつき、裾がほころびています。お手洗いに行くと立ったとき、ひざ上5センチのミニ丈ということがわかりました。そこからスッと伸びる細い脚……それは、成熟した女性の肉の付き方ではなく、初潮を迎えた小学校高学年くらいの女の子のような、スッとしていて凹凸がない、小枝のような形をしていました。
保育士は人手不足で、もといた保育園を通じて、志穂子さんにリクルーティングの電話がかかってくることがあると言います。それでも子供が苦手過ぎて、復帰することは考えられないと言います（写真はイメージ）。
