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学童指導員は保育士よりも少ない給料 まだまだ考えるべき子ども施策 - 武蔵野市議

6月12日に全国学童保育指導員学校が開催され、学童保育の現状の課題が認識され、これからの学童保育をどのように拡充していくかなどが全体会や分科会で話し合われた。なかでも注目すべきことは、指導員の待遇だ。

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 学童指導員(支援員)の待遇については、この日の講演でも報告されていたが、芳しくない状況がずっと続いている。
 2015年12月に『学童保育指導員の実態調査報告2015』(全国学童保育連絡協議会)が発行され、詳細な内容が報告されたが、これを読むと実態が分かりやすい。

IMG_2183 実態調査は、2000年、2005年に続く3回目の調査で、2005年5月1日現在に指導員をしている人を対象とし、全国の市区町村から無作為に選んだ422市区町村の指導員にアンケートで行ったもの。回答数は4313人で回答率は33.4%だった。


■勤務年数は5年未満が半数近く、正規は17.7%

 勤続年数を見ると。5年未満が46.2%、10年以上の指導員は、21.6%しかいないことが分かる。正規職員か非正規化かの設問には、17.7%しか正規職員でないことも分かった。

 学童保育は、昨年から実施されている子ども・子育て新制度などにより学童の待機児もなくすように量的拡大を国が率先して進め、市が計画的に進めるなど責任主体となることが明確化された。
 財源については、消費税増税分をあてることで、新設への補助金だけでなく、指導員の正規雇用などによる質をあげるための運営費も増額されている。金額的には満足できるとは言えないが、量も質も向上することを国は求めていることになる。

 国による学童保育への補助金は、1976年から設けられ1億1700万円で始まり、2015年で575億円と大幅に増加している。しかし、現実はとても、追いついていないことが給料をみれば分かるだろう


IMG_2181■半数の指導員は年収150万円未満

 報告によると、150万円未満が52.7%。150万円以上300万円未満が38.3%・300万円以上は9.0%という状況で平均は127万4000円だった。

 これは全指導員に対しての結果だが、小学生は午前中に授業があり、午後から学童に来ることから短時間勤務としている指導員も少なくない。そのため平時6時間以下の場合と、6時間以上の指導員との給料も調査している。

 結果は6時間以下で150万未満が67.9%。150万円以上300万円未満が16.6%。300万以上が0.9%だった・
 6時間以上では、150万未満が9.9%。150万円以上300万円未満が52.6%。300万以上が18%と多少額は上がっているが、この結果だ。
 しかも、昇給なしが60.3%。退職金があるのは25.4%の結果だった。
 そのため指導員のなり手がいない。募集しても集まらないといった問題も出てきている。

 ちなみに、武蔵野市の場合は、非正規、150万以上、300万円未満に入る。


■学校よりも学童の時間が長い

 指導員は、子どもと遊んでいればいい、見守っているだけ、放課後だけだから時間数は少ない。だから給料は安くていいと多くの人は思っているかもしれない。
 しかし、土曜日も開所している学童保育での子ども過ごす時間は、学校にいる時間よりも長いという調査結果もでている。

 ・学童保育の平均年間開設日数=283日
 ・1~3 年生の子どもが小学校にいる時間 年間約 1221 時間
 ・1~3 年生の子どもが学童保育にいる時間 年間約 1681 時間  (全国学童保育連絡協議会調べ)

 これを考えると短時間勤務で良いとは言えない。しかも、指導員間の情報共有や打合せ、地域や自治体との連携、気になる子どもへの配慮、保護者との関係づくりもあるのだ。

 保育士の給料をあげることが国会で論戦になっていることは歓迎するが、保育士だけではなく、学童保育の指導員の実情も理解し議論することも必用だろう。

 給与を含む待遇は、指導員の質と密接であり保育の質に直接影響する。このことを、子どもの保護者、国会、市議会でも考えなくてはならないと再認識した。