増税再延期でも…保育の充実は先行 政府方針 - 日本経済新聞
政府は2017年4月予定の消費増税を再延期するのに伴い、保育の受け皿拡大など社会保障拡充策の一部を先行実施する。待機児童の解消を優先する。安定財源が確保できない中で、歳出が一段と膨らむ恐れがある。
保育以外の低年金者向け給付拡大策などの扱いは与党内で協議する。政府は10%への増税分を財源に子育て支援などを実施する。保育は受け皿を50万人分増やすのに伴い、保育園の運営費拡充に年1千億円規模の予算がいる。
政府は待機児童解消を首相が掲げる一億総活躍の看板と位置づけ、再増税を待たずに年末の来年度予算編成に向けて財源を捻出する意向だ。
増税時には低年金者に最大年6万円を給付する年金拡充策も予定している。今年1月成立した補正予算を財源に低年金者に1人3万円を給付しており、政府・与党内には消費増税を待たずに6万円への引き上げを急ぐべきだとの意見も強い。今秋提出する16年度第2次補正予算案などで財源を手当てする案があり、与党で調整を急ぐ。
無年金者を少なくするために年金の受給資格の期間の短縮も急ぐべきだとの声も政府・与党内にはある。財政規律を重視する財務省は次回の増税時まで先送りすべきだと主張している。