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「待機児童」考える 保育士、掘り起こしが鍵 府内有効求人1.66倍 京都市、有資格者に就業支援 /京都 - 毎日新聞

京都市認可保育所などに入所できなかった待機児童数が25日、3年連続で「ゼロ」と発表された。しかし、今回の統計に算入されなかった潜在的な待機児童の入園をかなえ、増加する保育ニーズに対応するには、担い手である保育士不足の解消が鍵を握る。京都市は資格を持ちながら保育施設で働いていない「潜在保育士」や、試験に合格したのに現場に出ることに不安を持っている人への就業支援研修に力を入れている。【野口由紀】

 保育士と一緒にブランコに揺られて笑い声を上げたり、ベビーカーでうとうとする赤ちゃんたち。5月中旬のある日、京都市北区の上賀茂保育園近くの公園では、生後4カ月から1歳1カ月の園児9人がいつものように5人の保育士と散歩をしていた。

 普段と少し違うのは、同区の主婦、野々村有美枝さん(39)が参加していること。野々村さんは昨年、独学で保育士試験に合格した「若葉マーク」の資格者。短大や大学などの養成校卒業者のような実習経験はない。市の委託を受けた市保育園連盟が運営する「市保育人材サポートセンター」の就業支援研修の一環で、上賀茂保育園で実習をしている。

 よちよち歩きの子供たちは地面にちょこんと座ったかと思うと、突然、砂を口の中に入れてしまいそうになる。「目が離せないですね。命を預かっている重みを実感します」と表情を引き締める。

 園に戻り、給食となると、保育士らは笑顔で園児らに接しながらもてきぱきと食事介助をする。この子は汁を飲むのが苦手、同じおかずばかりあげると嫌がる……。子供の特性を踏まえて的確に指示を出す保育士に従いながら、野々村さんも「かみかみ、もぐもぐだよ」と言いながら、赤ちゃんの口にスプーンを運んでいった。

 野々村さんは子供2人の母親でもある。短大卒業後、事務職をしていたが、長男(10)の出産を機に退職。長女(7)が小学校に入学すれば仕事を再開したいと考えていた。子育てを通じて子供と向き合う仕事をしたいと考えるようになっていたため、38歳の時に保育士資格を取ろうと一念発起。毎朝午前4時半に起きて、猛勉強し、見事合格した。ただ、現場を踏んでいないことについて「実際にちゃんと対応できるか」と不安がつきまとっていた。

 そこで見つけたのが5日間の実習があるサポートセンターの研修だった。「不安感が軽減され、現場の先生たちが細かいところまで気を張りながら保育していることがよくわかった。奥が深い仕事で、意欲がわいた」と笑顔を見せていた。

      ◇

 どれぐらい保育士が不足しているのか。京都市保育課によると、府内の保育士の有効求人倍率は年々高まり、昨年12月時点で1・66倍。全国平均2・34倍より下回ってはいるが、全産業よりは高い。市は2017年度末に14年度末時点に比べて4679人分の保育が必要となると見込み、さらなる施設整備に力を入れている。サポートセンターの担当者は「毎年新設園ができるが、面接をしても来てもらえない状況が特にこの2、3年は切実だ」と嘆く。サポートセンターが15年度に紹介した保育士の求人数は437人だったが、それに対する求職者数は113人にとどまる。

 野々村さんが参加した就業支援研修には15年度18人が参加し、12人が就職する高い就職率を誇るが、「求人の伸びに対して求職があまり伸びておらず、このままではいけない。まだまだ掘り起こしが必要だ」と市保育課の担当者は話している。

 

4月1日現在の京都市認可保育所などの利用状況

申し込み  3万1027人(+681人)

 入所   3万 444人(+735人)

 内訳   保育所    2万6810人(-450人)

      認定こども園   2630人(+888人)

      小規模保育    1004人(+297人)

入所できず 583人(-54人)

 内訳   保育要件に該当しない    42人(-92人)

      幼稚園の預かり保育を利用  49人( +7人)

      特定の保育所等を希望   492人(+31人)

 ※( )は前年同期比