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韓国、保育無償でも出生率改善せず 企業の不寛容が高い壁に - 日本経済新聞

 女性の大学進学率や就業率が上昇してもなお、出産・子育て期の女性がいったん労働市場から退出する「M字カーブ」が顕著な日韓両国。少子化に歯止めを掛けるには、仕事と出産・子育てが両立できる環境づくりが欠かせない。女性が仕事を続けられるための支援策がカギを握る。

 

韓国では女性の常勤社員が300人を超える企業に職場保育所の設置を義務付ける(サムスン電子の職場内保育所)
 

韓国では女性の常勤社員が300人を超える企業に職場保育所の設置を義務付ける(サムスン電子の職場内保育所

 なかでも保育所の整備を求める声は根強い。日本政府は2025年度までに出生率(1人の女性が生涯で産む子供の数)1.8を目指す「ニッポン一億総活躍プラン」で、事業所内保育施設を増設するなどして17年度末までに約50万人分の保育の受け皿を増やすことを盛り込んだ。

 韓国では保育の受け皿自体は不足していない。13年から0歳から5歳までの未就学児が対象の無償保育を実施。女性フルタイム社員が300人を超える企業に事業所内保育施設の設置を義務付け、設置していない企業名を政府のホームページで公表し最大2億ウォンの罰金を科すなど日本より先行する取り組みもある。

 ところが「施設の数は増えたものの、質の面で安心できる預け先には限りがある」と韓国の母親たちは口をそろえる。横浜国立大学大学院の相馬直子准教授は「子育て世帯向けの支援が韓国では保育料に集中したが、出生率の上昇に必ずしも寄与しなかった」と指摘、保育の受け皿拡大だけでは不十分だと分析する。

 育児休業や配偶者出産休暇などの制度を利用しやすい職場の雰囲気も必要だ。日本は仕事と子育ての両立を支援する企業を認定する「くるみん」制度を07年に開始、15年には「プラチナくるみん」も導入し基準を満たした企業を税制で優遇するが、中小企業への浸透はこれからだ。

 韓国では05年の「1.08ショック」を契機に「低出産・高齢社会基本法」が制定され、06年に「第1次低出産・高齢社会基本計画」が始まった。以降、5年ごとに計画を策定している。産前産後休暇の有給期間を拡大、配偶者出産休暇や短時間勤務制度を導入するなど支援策は相次いだが、取得しづらい職場も多いという。

 現政府は出生率1.5を政策目標にしている。16年に始まった第3次基本計画は、共働き夫婦が子どもを持ちやすくし、両立支援策を使いやすくするのが柱。5年間で100兆ウォン超の予算が投じられる予定だ。