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首都圏の自治体、保育士確保に動く 経験者復帰や育休取得支援  - 日本経済新聞

保育所に入れない待機児童の解消に向けて、保育士の待遇を改善するなど担い手を確保する動きが首都圏の自治体で広がっている。給与の低さなどを理由に保育士が職場に定着せず、人手不足が保育所の増設を阻んでいるためだ。離職した保育士の復職や育児休業の取得を支援するなど、保育士が働き続けられる環境を整える試みが続く。

 足立区は2016年度から、保育の現場を離れた「潜在保育士」が復帰するまで一貫して支援する取り組みを始めた。区が主催するセミナーを受講後、実習を受けられる保育所を紹介する。

 実習の経費は区が負担するほか、ピアノレッスン費や保育専門書の購入費なども一部補助する。ハローワークと協力して就職相談会も開く。同区は「子育てを経験した潜在保育士は現場で即戦力になる」と期待する。

 日本経済新聞社東京都区部と首都圏の政令市に待機児童対策などを聞いた調査では、都内10区と千葉、川崎市が「保育士の処遇改善策を検討している」と回答した。

 千代田区は15年度から、保育士の給与を上乗せする独自の補助金を創設した。1人当たり月に最大2万円を上乗せしている。出産を機に離職する人が多いため、16年度からは育児休業を取得する場合、保育所が代替職員を雇用する経費を補助する。1人あたり1カ月20万円まで補助する。

 千代田区などを管轄するハローワーク飯田橋によると、4月時点の保育士の有効求人倍率は27倍。同区は「仕事と家庭を両立できなければ、保育士はどんどん辞めてしまう」と危機感を募らせる。

 杉並区は17年度から、育児休業を取得した保育士が復職する場合、子どもが優先的に保育施設に入所できる仕組みを検討している。

 千葉市は16年度予算の6月補正で、民間の保育施設を対象に保育士の住居借り上げ費用の助成を盛り込んだ。

 川崎市は15年度、保育士の人件費を1.9%引き上げた。17年度予算でも引き続き保育士給与の改善に取り組む方針だ。

 さいたま市は調査の回答で新たな待遇向上策を挙げなかったが、3月から認可保育所などを対象に保育士の借り上げ住宅の家賃を補助する制度を始めている。採用後5年以内の保育士が対象で、月8万円以内の住居費の4分の3を補助する。

 同市は15年度に潜在保育士向けの再就職支援セミナーを開催。受講生約40人のうち3割が市内の保育所に就職した。16年度は東北や北陸などの保育士養成施設と連携し、市内の保育所への就職を支援する予定だ。のびのび安心子育て課は「他の支援制度も合わせ、さいたま市で安心して仕事と生活ができることを説明していきたい」と話す。

 厚生労働省によると、民間保育所の保育士の月給は平均約21万円と、全職種平均より約10万円低い。東京都福祉保健局の調査によると、保育士の平均就業年数は約5年。働いている保育士の約2割が退職を考えており、理由として「給与が安い」「仕事量が多い」「労働時間が長い」などを挙げている。

 政府は17年度末までに全国の保育定員を50万人増やす目標を掲げるが、新たに50万人を受け入れるには約9万人の保育士が必要となる。

 首都圏の待機児童数が高止まりを続けている。各自治体が保育所の受け入れ定員の拡大を急ぐ中、なぜ待機児童は減らないのか。東京都区部と政令5市を対象とした調査結果から、待機児童問題の現状を探る。