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保育施設放置死公判 保護責任認識も無罪主張 懲役10年求刑 栃木 - 産経新聞

宇都宮市の認可外保育施設の女児死亡事件で、保護責任者遺棄致死罪などに問われた元施設長、木村久美子被告(59)は9日、宇都宮地裁で開かれた裁判員裁判で、裁判長に詰め寄られ、争点となっていた女児の治療の必要性をほぼ認める発言をした。ただ、弁護側は、治療が必要な状況とは認識していなかったとする従来の主張を変えず、保護責任者遺棄致死罪は無罪を主張。検察側は懲役10年を求刑した。

 この日の公判では、論告求刑を前に行われた被告人質問で死亡した山口愛美利(えみり)ちゃん(当時生後9カ月)の状況について、佐藤基(もとい)裁判長が木村被告に厳しく詰め寄る場面があった。

 裁判長「熱と下痢の症状があり、いつもより元気がない愛美利ちゃんを見て、一般的には医者にかかるが、まさか死ぬほどではないと思っていたということか」。木村被告「はい」。裁判長「死なないとは思っていたが、一般的に見て(医療措置が必要と)分かっていてしなかったことが保護責任者遺棄致死罪に当たる」。木村被告「そうですね」。

 保護責任が生ずる状況だったことを認めた木村被告。しかし、「医者に連れて行く人も行かない人もいる」などと釈明した。

 また、死亡した愛美利ちゃんを発見し、シャワーで洗ったときの心境を被告は「頭が真っ白になって、覚えていない。自分の行動が分からない」と説明していたが、裁判長は「頭が真っ白と言うが、偽装工作と言えることをしている」と指摘。被告が「無意識に動いた」と答えると、「無意識に自分を守ったのか」と強い口調で詰め寄った。

 愛美利ちゃんの両親は被害者参加制度で意見陳述。父親は「託児室といず」での保育の実態を知り、「娘は亡くなる3日前からずっとぐるぐる巻きにされ、一人ぼっちで放置されていたのかもしれない。助けられなかった自分が許せなかった」と述べ、「遺影に何度も、ごめんねと語りかけたが、もう何も答えてくれない」と涙ながらに話した。

 母親は「自分が選んでしまった託児所のせいで(親族)みんなを悲しませた」と自責の念を語った。「家族の希望や幸せ、穏やかな時間は無責任で身勝手な被告のせいでなくなった」と非難し、「どうか厳正な処罰をお願い致します」と切々と訴えた。

 一方、木村被告は最終陳述で「子供に関する仕事を続けていたことを誇りに思っていた」と声を震わせ、保育士資格の返納を表明。「人生をリセットし、ゼロからやり直すつもり。本当に申し訳ありません」と謝罪の言葉を口にしたが、愛美利ちゃんの両親に頭を下げることはなかった。